「管理職教育・育成のエキスパート」

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テーマ12 本来的に人が持つ人事考課時のエラーについて

人事考課エラーは、人が人を評価するときにだれもが持っている、
あまい、からい等のクセの総称をいいます。

人事考課を行う際に、人事考課上のエラーを認識し、
注意をすることによりかなりのエラーを防止することができます。

人事考課表を配布する際に、下記の人事考課エラーについて
まとめた文書を人事考課表に添付するだけでも、エラー防止に効果的です。

人事考課のエラーを完全に防ぐことは難しいことであります。
そのため、最終評価を決定する際は、会議等を開き、複数の目で
評価の妥当性を検討することが必要です。

また、人事考課エラーは、人事考課表のように紙の上で、
部下を評価する時ばかりではなく、日常部下と接しているときでも、
無意識のうちに、下記のような人事考課エラーの視点で部下を評価し、
接している可能性があるので注意が必要です。

◇人事考課上、陥りやすいエラーと防止策

■ハロー考課・・・何かひとつがよい(悪い)と、何もかもよく(悪く)みえてしまう傾向。
  【防止策】
  ・印象や先入観を排除するとともに、それに惑わされない客観性を持つ。
  ・日常の職務行動をよく観察し、その結果や事実にもとづく考課を行う。
  ・考課項目の定義や着眼点にもとづいた行動観察を心がける。

■中心化傾向・・・「普通」と評価しすぎる傾向。
  【防止策】
  ・部下の能力開発、育成を常に心がけ、職務行動の具体的事実の
   把握にもとづいて自信を持って考課する。
  ・考課段階を正しく把握する。
    Sor5  極めて優れており申し分ない。
    Aor4  期待した水準以上であり優秀である。
    Bor3  期待し要求する程度であった。
         上司が部下に指示をした仕事が、期待通り
         100%達成できてBor3
    Cor2  期待し要求する程度を下回った。
    Dor1  劣っている。水準を大きく下回り期待はずれである。
    *詳細は同ブログ6回目、
     「人事評価における5段階評価の3の基準について」をご参照下さい。

■極端化傾向(2極化傾向)・・・優と劣の2極に分かれること。
  【防止策】
  ・部下の能力開発、育成を常に心がけ、職務行動の具体的事実の
   把握にもとづいて自信を持って考課する。
  ・考課段階を正しく把握する。

■論理誤差・・・一見論理的に関連しそうな考課項目を不必要につなげて考える傾向。
  【防止策】
  ・自己流の論理的思考、理屈構築を先行させない。
  ・考課項目の定義、着眼点にもとづいて忠実に考課する。

■寛大化傾向、厳格化傾向・・・事実より、より良く(より悪く)評価しすぎる傾向。
  【防止策】
  ・部下の将来のためには正しい考課が重要であることを認識する。
  ・人と比べるのではなく、考課項目に対し、正しい考課段階で評価する。

■対比誤差・・・自分と反対の特性をもつ被考課者を過大もしくは過小に評価する傾向。
  【防止策】
  ・考課段階を確認しなおし、自己流の考課基準が生じていないか確認する。
  ・自分を一度考課段階に照らして考課してみる。

■期末効果・・・考課を実施するタイミングに近い時点の事象が強く印象に残り、
         考課結果に影響する傾向。
  【防止策】
  ・部下の行動や実績に関する事象を、日ごろから書き溜められる
   チェックツールを作成し、活用する。
  ・半年、1年の長期間の考課期間の間に、中間考課を行っておき、
   事実に即した正確な評価を心がける。

■逆算化傾向・・・考課者が求める最終的な結果になるように、最終考課結果
           から逆算して各考課項目の考課結果を調整するため、
           部下の行動や実績と考課結果が一致しなくなる傾向。
  【防止策】
  ・部下に対する先入観を排除し、考課項目に従い、考課段階を
   正しく適用する。
  ・処遇のことを考えず、部下の行動を観察、記録するなどして、
   事実を正確に把握した上で考課する。